抗アレルギー薬
厚生省の定義によると、抗アレルギー薬は1型アレルギー反応に関与する化学伝達物質(ケミカルメディエーター)の遊離、ならびに作用を調節するすべての薬剤、およびTh2サイトカイン阻害薬の総称、ということです。30年くらい前から抗アレルギー剤は開発がすすんで来て、今では約30種類くらいあります。内服薬だけでなく、点鼻薬や点眼薬、吸入薬といろいろな形のものが開発されています。その作用の特徴によっていくつかに分類できます。
いろいろな抗アレルギー薬
レスタミン、タベジール、ポララミン、ピレチア、アタラックスP、アリメジン、ペリアクチン、など、古くから用いられている抗ヒスタミン剤です。眠気などの中枢神経作用や、痰を粘らせるなどの抗コリン作用などが強く使いにくいものもありますが、その作用は詳しく知られており、現在もいろいろな場面 で重要な薬です。
第二世代抗ヒスタミン薬
【ヒスタミンH1拮抗薬(抗ヒスタミン薬)】
いわゆる第二世代抗ヒスタミン薬をさし、古典的抗ヒスタミン薬はこの中に含まれません。この中には中枢神経抑制作用(つまり眠気などです)のあるものとないものがあります。前者として、ケトチフェン(ザジテンなど)、アゼラスチン(アゼプチンなど)、メキタジン(ゼスラン、ニポラジンなど) があり、後者としては塩酸フェキソナジン(アレグラなど)、塩酸エピナスチン(アレジオンなど) があります。抗ヒスタミン剤のところも参照してください。
【メディエーター遊離抑制薬】
肥満細胞からヒスタミンやロイコトリエンなどの様々な化学伝達物質が遊離されるのを抑制する薬です。クロモグリク酸ナトリウム(インタールなど)、トラニラスト(リザベンなど)、アンレキサノクス(ソルファなど)があります。この薬は、効果 が出始めるのが遅いので、飲みはじめたら4~6週くらいは継続しないと、効果 があるかないかは判定できません。
【トロンボキサンA2(TXA2)阻害、拮抗薬】
TXA2も化学伝達物質の一種です。 この合成を阻害する薬として塩酸オザクレル(ベガなど)がありますが、これは鼻アレルギーは適応症となっていません。他にTXA2の受容体拮抗薬としてラマトロバン(バイナス)があり、これは鼻アレルギーの薬で、鼻閉に効くとされています。
【ロイコトリエン(LT)拮抗薬】
LTも化学伝達物質の一種です。とくに気管支喘息に関与が大きいと言われています。この拮抗薬としてはプランルカスト水和物(オノン)などがあります。これも鼻閉に効果 があるとされています。
【Th2サイトカイン阻害薬】
Th2というタイプのリンパ球から出されるサイトカイン(細胞を活性化したり、集めたりする物質)を抑えて、アレルギーをおこさせないようにする薬です。トシル惨スプラタスト(アイピーディー)があります。
この他に、肝臓の治療に使われるグリチルリチン製剤(グリチロン、強力ミノファーゲンシーなど)もアレルギーを抑える作用が多少あります。またアレルギーの患者さんの尿から抽出された抗アレルギー物質として、MSアンチゲンという薬があり、これを少しずつ量 を増やしながら皮下注射をくり返すという治療が行われることもあります。