抗ウィルス薬
ウィルスは、細菌と違って、感染した人や動物(宿主と言います)の細胞に自分の遺伝子を組み込むような形で感染するので、薬での治療は困難と思われていました。それがここ20年くらいの間にたくさんの抗ウィルス薬が開発されて来ています。それでもまだ薬の開発されているウィルスは、数種類に過ぎません。
多くの抗ウィルス薬は、ウィルス遺伝子が組み込まれた細胞と、宿主の正常な細胞との微妙な差をねらって作用します。代表的な抗ウィルス薬をいくつかあげておきます。
代表的な抗ウィルス薬
【抗ヘルペスウィルス薬】
アシクロビル(ゾビラックスなど) --ー 腎障害のある時は要注意です。内服薬、注射薬の他に眼軟膏、軟膏もあります。 他にビタラビン(Ara-Aなど)もあります。
【抗サイトメガロウィルス薬】
ガンシクロビル(デノシンなど) ー-ー 副作用としての骨髄抑制(白血球、赤血球、血小板などの造血ができなくなること)に注意です。 赤ちゃんは妊婦さんには使えません。
【抗インフルエンザウィルス薬】
オセルタミビル(タミフル)、ザナミビル(リレンザ) ー-ー A型インフルエンザのH2N2、H3N2、H1N1とB型インフルエンザに有効です。発症48時間以内に飲みはじめることが大事です。副作用としては、腹痛、嘔気などの消化器症状があります。 【抗HIV薬】 ジドブジン(アジドチミジンなど)など
その他
この他にも、生体の免疫機能を調節して、ウィルスを排除する機能を高める薬があり、抗ウィルス療法薬と呼ばれています。代表的なのはインターフェロンです。インターフェロンは、白血球やリンパ球が作る物質で、細胞のウィルスに対する抵抗力を強め、ウィルスの増殖も抑えます。インターフェロンには、天然型としてINFα(スミフェロン)、INFβ(フエロン)があり、合成型としては、INFα-2a(ロフェロンなど)などがあります。現在は、B型およびC型肝炎に主に用いられています。