急性扁桃炎
概要
扁桃腺への細菌の感染によっておこる病気です。起炎菌(原因となる菌)は通常どこにでも見られる常在菌で、風邪ひきや疲労などで身体が弱っている時に、これらの菌が感染しておこります。起炎菌としては、溶連菌を代表とする連鎖球菌や、化膿菌の代表であるブドウ球菌、インフルエンザ菌などのほか、ウィルス性の場合もあります。
症状
高熱、咽頭痛、嚥下痛、全身倦怠感などが主な症状です。熱と嚥下痛が咽頭炎との鑑別点となるでしょう。重症例では痛みのため食事を取ることができなかったり、頚部リンパ節の腫脹が見られることもあります。
扁桃周囲炎を続発すると、口が開かない、頚部の痛みなどの症状が加わります。
検査、診断
上記のような症状があり、扁桃に炎症所見があれば診断がつきます。扁桃の所見としては、単に赤くはれているだけの場合や、白い膿の固まりが扁桃の表面のくぼみにイチゴの種のようについている場合(膿栓)、また全体にべっとりと白い苔のように(白苔)なっている場合もあります。
補助的診断として、血液検査でCRP(炎症に応じて高くなる)や白血球数(細菌感染の時に増える)などを測ったり、溶連菌の感染の時に上がるASO、ASK、ASPなどの抗体価を測る場合があります。また扁桃を綿棒でこそげてその培養をして、起炎菌を明らかにする場合もあります。
鑑別診断として大切なのは、伝染性単核球症、VIncentアンギーナ、咽頭ジフテリアがあります。いずれも扁桃に潰瘍があったり、偽膜と呼ばれる膜で覆われていたり、扁桃の所見の違いがありますが、血液検査、菌の培養などによって確定されることが多いです。
治療
抗生物質が治療の要となります。上記の起炎菌に効くということから、ペニシリン系のABPCやセフェム系が使われることが多いです。
食事が摂取できない場合は、輸液(点滴)が必要になりますし、痛みの強い場合は鎮痛剤が用いられるなど、症状に応じて治療が選択されます。耳鼻科では扁桃の洗浄などの処置をして、治癒を促進します。
また急性扁桃炎を反復することが時にあり、年に数回以上反復する場合、習慣性扁桃炎と呼びます。発熱などの症状が強くて日常に支障を来たす場合や、病巣感染の可能性がある場合には、手術で扁桃を摘出することが望ましいでしょう。