去痰薬
痰は、気道の粘膜から分泌された粘液で、これが貯留すると、呼吸困難を生じたり咳の原因となったり、また感染の元になることもあります。去痰剤というのは、気道の液分泌を促したり粘液を溶かしたりして、痰の粘稠度を下げるものや、気道分泌物の性状を変化させたりするものがあります。
しかし いずれの場合も、痰の原因になっている状態の改善が先決です。つまり、肺炎で痰の多い時には抗生物質、喘息の場合には気管支拡張剤など、という病気自体の治療をすることが、結局は痰の症状もおさえることになることが多い、ということです。もちろんその場合も、去痰剤を併用しながら原疾患の治療をする場合が多くなります。
いろいろな去痰薬
【気道分泌促進剤】
気道の液成分の分泌を高めることによって、痰の粘稠度を低下させます。ブロムヘキシン(ビソルボンなど)、桜皮エキス(ブロチンなど)などがあります。
【気道粘液修復剤】
喀痰の成分の比率を調整して、痰を出しやすくします。カルボシステイン(ムコダインなど) などがあります。
【気道粘液溶解剤】
喀痰の成分を分解するなどして、痰を出しやすくします。アセチルシステイン(ムコフィリンなど)などと、消炎酵素製剤の一部もこのような作用を持っています。消炎酵素剤の部分を参照してください。
【気道潤滑剤】
肺胞の内側を被っているサーファクタントという物質の分泌を増やして、喀痰を排出しやすくします。塩酸アンブロキソール(ムコソルバンなど)などがあります。 この他にも痰の表面張力を低下させて排出を促す、吸入用の界面活性剤(アレベールなど)や生薬のキョウニン水なども去痰剤として使われています。
内耳疾患
半器官、蝸牛とその間の部分である前庭からなる部分。内耳は二重構造になっていて、外側部分は骨で囲まれているので骨迷路と呼ばれ、内側の部分は膜で包まれているので膜迷路と呼ばれます。両方とも内部はリンパ液で満たされています。骨迷路内(膜迷路外)のリンパ液を外リンパ、膜迷路内のリンパを内リンパと言います。
耳の働き
耳の大切な役割のひとつは、脳に音を伝える、ということです。音は最初は空気を振動させる音波として外耳道にはいります。外耳道に入った音は、次に鼓膜を振動させ、この振動はさらに3つの耳小骨に伝わります。耳小骨の一番奥の部分であるアブミ骨の底部は、内耳の卵円窓というところに接しているのですが、音は次にこの卵円窓を通 じて、内耳のリンパ液を振動させます。これがコルチ器の有毛細胞を揺らし、その揺れが各有毛細胞につながっている蝸牛神経を興奮させ、これが脳の聴覚中枢に届くと、「音が鳴っている」と自覚されるのです。
もうひとつの大事な役割は、身体の平衡(バランス)を調節することです。これは3つの半器官と、その少し蝸牛よりの位 置にある、球形嚢および卵形嚢という部分が関与しています。半器官の一端の太くなった部分(膨大部)には毛細胞があり、この毛はクプラというゼラチン質の物体に接しています。頭部が動くと半器官内のリンパが動き、クプラを揺らします。この揺れを毛細胞の毛が感知し、前庭神経を介して脳へと伝えるのです。球形嚢および卵形嚢の中にも毛細胞があり、この毛は耳石膜という膜に接しています。この膜は耳石と呼ばれる石のようなものが乗っていて、頭部の運動に伴ってリンパが動くと、この耳石も揺れ、それを毛細胞が感知し、やはり前庭神経を介して脳へと伝達するのです。