急性鼻炎
概要
風邪にともなっておきる、鼻の急性炎症で、80%以上はウィルス感染が原因です。咽頭炎や喉頭炎を合併することもおおいです。本来は自然治癒する病気ですが、急性鼻炎から急性副鼻腔炎、さらには慢性副鼻腔炎を併発したり、急性中耳炎や滲出性中耳炎を併発することもあります。
症状
ほとんどの症例が同様の経過を取ります。最初、鼻が乾いたような感じがして、くしゃみを頻発します。数時間のうちに、大量の水溶性鼻汁が見られるようになります。ウィルス感染により、鼻の中の常在細菌叢が活性化されるため、鼻汁はしだいに粘膿性へと変化します。10日弱で自然治癒します。経過中に細菌の二次感染を起こした場合には、急性中耳炎や副鼻腔炎を起こしやすくなります。
検査、診断
病気の経過や他の随伴症状、鼻の所見により診断が可能です。鼻アレルギーとの鑑別が難しい場合は、鼻汁の白血球を調べるといいです。鼻アレルギーでは好酸球が増えているのに対し、急性鼻炎では好中球が増えていることがおおいです。ウィルス感染に細菌の二次感染が加わり、中耳炎や副鼻腔炎を合併していると思われる場合には、細菌の検査を行います。起炎菌としては、肺炎球菌、ブドウ球菌、インフルエンザ菌などがおおいです。
治療
ウィルス感染の根本的な治療はありませんから、それぞれの症状を緩和する治療(対症療法)が行われます。鼻汁がおおい場合には抗ヒスタミン剤を、発熱していたり咽頭痛などの痛みが強い場合は、消炎鎮痛剤を投与します。鼻づまりには、血管収縮剤を鼻腔内に噴霧する方法が効くことがおおいです。
原則的には抗生物質は何の効果もないはずなのですが、二次感染の予防という意味で投与されることがおおいです。二次感染を起こす頻度の高い菌種を考慮して、一般的にはペニシリン系やセフェム系の中から選択されます。
10日以上たっても治癒傾向が見られない場合には、副鼻腔炎への移行を考えて、鼻処置を強化したり強力な抗生物質療法を行う必要があります。